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Channel: IKE-Pの釣れづれ日記
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霞ヶ浦導水事業がもたらすもの・3

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今日は霞ヶ浦/那珂川の未来を左右する裁判の判決が水戸地方裁判所で言い渡されました。霞ヶ浦導水事業の是非を巡る裁判です。

霞ヶ浦と那珂川を地下水路で通水しようという霞ヶ浦導水事業。民主党政権下で事業が凍結されたものの、自民党の政権奪還に伴い事業が再開されることになった。これに対し、漁協や釣り団体、市民団体が異を唱え、事業の差し止めを求める裁判が昨年の12月に結審した。そして今日、7月17日が運命の日。その判決が言い渡された。

判決の結果、事業の差し止めは棄却された。

とはいえ、原告団もこのまま引き下がりはしないでしょうからこの先も紆余曲折があるとは思います。しかし現時点では、事業を進めるという方向で動いています。

釣り業界に関しては、今年のフィッシングショーの期間中に日釣振主催のもとで霞ヶ浦導水事業がもたらす影響についての講演会を開いたほどなので、導水事業を否定するスタンスが取られていると言えます。鮎釣りの組織や各地の漁協なども導水事業に対しては強く反対している。しかし中には、導水事業を推進する考えの人もいる。

ここでちょっと話題を変えます。東日本大震災の福島原発の事故を境にして日本では対立が起こりました。

「放射能は大丈夫、問題ない」という人達と「すぐにどうなるのかはわからないものだから念の為に注意しよう」という人達です。自分は言うまでもなく後者です。前者は後者の事を「風評被害を助長している」として非難しました。後者もそれに反論した。どちらが正しかったのかは福島県内のガン患者数の推移を見れば明らかですが、震災直後は結果の予測も割れていたわけですから意見の対立があったのも致し方ない。それでもお互い、それぞれの正義感に則り発言していたのは間違いありません。

霞ヶ浦導水事業もそれに似ている気がしてなりません。

霞ヶ浦の水が綺麗になるという期待がある一方で、那珂川の水に含まれる有機物質によって、かえってアオコが酷くなるという説もある。霞ヶ浦の水を利根川に通水した際に利根川のシジミが大量死したように、那珂川のシジミも悪影響を受ける恐れがある。那珂川の稚アユが取水口に吸い込まれてしまう恐れがあると懸念される一方、漁獲高に影響するほどのものではないとする意見もある。

いずれもやってみないとわからない、というのが正直なところです。

ただ、導水事業に反対する人、推進する人、そのどちらも根底には「那珂川を守りたい」「霞ヶ浦を良くしたい」という思いを感じる。世の中、導水事業に関心のある人なんてほんの一握りで、無関心な人がほとんどだと思います。霞ヶ浦でバス釣りをしている人の中でさえ、関心を持っている人がどれほどいるのか大いに疑問です。そんな中、意見の相違こそあれ、積極的に関わっている人達は凄いです。

放射能汚染に関する対立は、そもそも東京電力が諸悪の根源なので、本来は対立する必要もなかったはずのものです。

霞ヶ浦導水事業に関する対立は、双方の根底に水域に対する思いがある。その根底は共通しているものであり、本来対立すべき人達でない。

この先、霞ヶ浦導水事業は実現するかもしれない。その結果、恐れていたことが幾つか起きるのかもしれない。その時は意見を異にした者を非難することよりも水域を良くする策を共に講じる方が良い。それぞれの根底は、水域への思いで一致しているはずだから。

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